top of page

NO.128 ずうっと前からSDGs !?

もうすぐ7月。暑さが本番を迎える月です。


気象庁発表の長期予報によりますと、今年の夏はラニーニャ現象が継続する見込みであり、その影響で日本全体が「暑い夏」になりそうです。マスクを着けたままの方が心が安らぐ日本社会では、熱中症に充分注意する必要があると思います。


それはそうと、地球温暖化説に異を唱える方もいる中ですが、私が野山で遊んでいた数十年前の子どもの頃に比べると夏の最高気温は五度くらい上がっているような気がします。昔は三十度を超えると「今日は暑いな」と言っていたのが、今では三十五度くらいな感じです。公開されている世界各地の氷河の比較写真でも軒並み氷河が小さくなって後退したり、中には消失してしまっている所もあります。


このような状況を受け、国連ではSDGsという十七条の目標を掲げ、世界的に広めようとしています。詳しく述べると長くなるので割愛しますが、ごく簡単に言えは、「このままだと地球がやばいので皆で何とかしよう」ということです。(やばいは悪い方)

SDGs。直訳すると「持続可能な開発目標」。「国連は凄いな。この新しい考え方を地球の皆のために広めなきゃな」という流れに各地でなっていますが、よく考えてみると、これに近いことを、ずうっと前から実践してきた人々が居ます。主に狩猟で生活していた先住民の人々です。日本では主に北海道に住んでいるアイヌ民族の人々。





必要以上に獲りすぎない。自然の恵みに感謝する。自分だけが満腹なら良いのではなく皆と分かち合う。助け合う。アイヌの人々に文字はなく、殆どが口伝で伝えられており「アイヌ神謡集」(岩波文庫)等の中にそのエッセンスが記されていますが、ほぼSDGsのコンセプトと一致しています。アイヌ文化の成立は十二~十三世紀と言われているので約千年も前から、それこそ持続可能な社会を構築していたわけです。


それを今の我々は、産業革命後僅か二百年で持続不可能な社会にしつつあります。

数年前、自然をテーマにした絵本の著作が多い絵本作家の村上康成さんに、この園で講演をお願いしました。講演後の村上さんとの会話で、

「インディアンに伝わる言葉に、七代先の子孫のことを考えよ というものがあるそうです」

ということを聞きました。


場所は変わっても、やはり自然からの恵みによって生活をしていた人々には共通するものがあると思いました。それはやはり、自然……我々を養ってくれる大いなるものへの感謝・畏敬の念。

もう少しで夏休みとなります。「自然を大切に」・「ゴミは持ち帰りましょう」等々の呼びかけも大切ですが、子どもにとって最も大切なのは自然の中で、それこそ夢中で遊び、楽しく過ごした時間をもつことでしょう。自分に大きな楽しみ・喜びを与えてくれるものを大切にしない人はおりませんので……。


(しらさぎ幼稚園だより 2022.7.8月号 より 一部変更)

bottom of page