NO.146 ことばは、あふれるもの
- shirasagioffice
- 1月8日
- 読了時間: 3分

ある1歳7ヵ月の子を育てているお母さんから聞いた話です。
女の子ということもあってか、そろそろ2語文をしゃべるようになってきたとのこと。ある日、上の子が通っている幼稚園のバス停で、その子がしゃべるのを聞いた他のお母さんが……。
「えー、そんなに小さいのにもうしゃべれるんですか? 何か早期教育の教室とかに通っているんですか?」
「いいえ、特別なことは何もしていません。ただ絵本を読んでやっているだけです。」
「言葉もままならない小さい子に絵本を読んでわかるのですか?」
話しかけてきたお母さんは、どちらかというと教育熱心で毎週のように図書館に通って本を借りてきている人だそうです。やはり、一般的には多くの人がこの方のように思っているのかなぁとも思います。
しらさぎ幼稚園では、通園している全園児に毎月絵本を購入してもらっています。全部福音館書店発行の「こどものとも」です。勿論、年少・年中・年長向けの3種類があり、それぞれの年齢に合った内容になっています。
よくみられる、写真やしかけ等がちりばめられた「保育雑誌」とは全く異なり、毎月一つの「絵本」として作られています。特筆すべきはその制作期間。殆どのものが、絵本作家・画家・編集者が三位一体となって、時には絵を全く違うものに描きかえたり、文章の位置、句読点、文字そのものの増減までを吟味して毎回ハードカバーの一つの絵本を制作するというスタンスで仕事をしているので、平均2年位かけて作られているのです。
事実「こどものとも」として刊行後、実際にハードカバーの正式な絵本として再出版されているものも沢山あるので、現代風にいえばそれが先にワンコイン以下で手に入るのはとてもコスパが良いと言えるでしょう。
こどものともには、比較的最近出た「0.1.2」というシリーズがあり、そのお母さんは生まれてからすぐにそのシリーズを毎日読んでやっていたそう。赤ちゃんが、だんだんと絵本に反応して喜ぶようになっていくのが楽しく、また親として、とても嬉しかったと述べていました。
言葉というものは「教えてやる」ものではありません。空のコップに水を注ぎ続ければ、いずれ一杯になってあふれ出します。この水が子どもの周りの人々の言葉です。絵本の読み聞かせは、とても良質な水をコップに注ぐ行いです。しかし現代人の多くが一日のかなりの時間をスマートフォンに費やすようになってしまった今「言葉が遅い」子どもが増加してきてしまっています。
先述の「こどものとも0.1.2」を読んでみて所要時間を計りました。1分37秒でした。「こどものとも年少版」を読みました。2分8秒でした。少し長い年長向けのものでも10分とかかりません。
どうかこの位の時間しかかかりませんから、できれば毎日お子さんのために使ってあげてください。そのことがどれ位、その子の未来を豊かにするか解りません。本物の絵本には、そんな凄い力が宿っています。
そしてその力は貴方が声に出して読んでやることで初めて発揮されるのです。
(ようちえんだより令和7年12月号より)




